こだわり



皆さんの‘こだわり’とはなんですか?‘こだわり’といっても多岐にわたるものなので、分野を限定しないといけませんね。


それでは、この日記がファミール産院院長日記であることから、お産に関する‘こだわり’でいきましょう。‘こだわり’というよりポリシーといった方が適切かもしれません。


私の場合、一言で言えば「自然のものはなにもせず」です。


お産というのは、人類が誕生して以来何万年以上もの間行われてきたことです。
西洋医療が導入される以前はどのようなお産がされていたことでしょう?おそらく地域の長老(たいていお産婆さん)、家族を中心として、婦人会の面々が総出でお産にかかわり出産していたと思います。


我々の祖母の時代は、間違いなくそのようなお産だったことでしょう。


私は、その温か味のある、幸せな風景が大好きです。これが私の目指す究極なお産です。


ただし、今は医療の発達した、より安全、専門性を求められる時代です。私は産婦人科専門医としてお産の怖さをいやというほど見てきています。お産に携わる方々ならだれでも感じていると思いますが、「絶対に安全なお産」などありえません。


そのような医療環境の中で僕が到達した‘こだわり’が、「自然のものはなにもせず」です。従って基本的には外陰切開を行いません。外陰部の傷のないお産を体験された方ならご存知だと思いますが、お産後の回復が全然違います。


傷のないお産をするには少々コツがいりますし、分娩介助者の技術が必要となります。そのあたりはファミール産院の企業秘密ということで、母親学級にいらした方に伝授しましょう。


さあ、皆様も傷のないお産を体験してみましょう。


今日の一言
 「自然のものはなにもせず」