寒い夜にはご注意を


インターネットの普及のせいか、南房総のご高齢の方が元気なのか?院長日記を読まれている還暦を越えたファミールの患者様が少なからずいます。


いままで、どちらかというとお若い方への医療情報が多かったので、今回は還暦を迎えた方々向けにヒートショックについてお話しましょう。


私が医学生だった頃、社会医学の授業で、雪国で暮らしている方は血圧が高く、脳卒中で亡くなられる方が多いといった授業がありました。


脳卒中を起こすのは、たいてい入浴後や、夜中にトイレに行ったときが多いようです。入浴中に温まった体で冷えた脱衣所に移動した時や、暖かい布団から出て離れの冷えたトイレで用足しに行ったとき・・・


この急激な温度変化が体に与える衝撃をヒートショックといいます。


最近の住宅事情では、気密性もよく、2重ガラスなどの普及もありトイレが冷えている状況は少ないかと思います。最近増えているヒートショックは入浴前後に多いといわれています。


入浴時の血圧は主に温度の変化と急な動作によって変動します。温度が下がると血管は収縮して血圧が急上昇し、温まると血管は広がって血圧は急降下するのが基本的な仕組みで、冬場の入浴前後は温度差が大きいため危険度が増します。


まず暖かい部屋から寒い脱衣室に移動した時、次に服を脱いで冷気に肌をさらした時に血圧は急上昇します。かけ湯を浴び、浴槽に入った時も刺激によって更に急上昇します。この後、体が温まるに従い血圧はどんどん下がります。この血圧の変化が脳梗塞を引き起こしやすくします。


また、入浴中は発汗によって血液粘度が増し、さらに脳梗塞を起こしやすい状態になります。浴槽から出ようと急に立ち上がると、血圧は更に急速に低下し、脳貧血(たちくらみ)や失神を起こす恐れがあります。

それでは、どのように防止すればいいのでしょうか。

・脱衣室、浴室を暖房する

・湯温は40度程度まで。長湯は禁物、20分以内を目安に


・高齢者は一番風呂を避け(まだ浴室が寒いため)、嫌ならシャワー給湯など工夫を


・体の先から「かけ湯」し、肩までつからない「半身浴」に


・高齢者は入浴前に家族に知らせ、家族もこまめに声掛けを


・手すりを付けるなど浴室構造を改善する


・飲酒後の入浴は避ける


以上が入浴時に起きうるヒートショックを防止するための方法といえます。


幸運にも、南房総では、雪国とは違い暖かい土地柄ですから実はヒートショックは少ないのではないかと思いながら日記を書いています。


私がいたつくばでは、この時期からつくばオロシが吹くため、深夜のお産で呼び出されるのに大変苦労しました。


今日の一言
 「院長日記を読まれている還暦を越えたファミールの患者様が少なからずいます」