最近考えること

ファミール産院を開院してはや1年半、最近お産とは何か考えます。


南房総には亀田病院という周産期センターがあり、そこには充実したNICU産婦人科医だけでなくお産にかかわるスタッフ、どれをとっても非の打ち所がありません。


おまけに、リゾートホテルのような設備で、院内にはコンビニや美容室などありとあらゆるものが揃っています。いわゆるお産をされる方の理想郷に近い環境ではないかと思います。


反対に、今の産婦人科医療は、産婦人科専門医が一生懸命お産に力をそそいだあげく、結果が悪かったというだけで逮捕されてしまう時代です。


本来お産とは、母親が命を賭けて子孫を残し、一家の繁栄を願うものであるはずです。お産を介して、夫婦の絆、家族の絆を確かめ合うものではないかと思います。そして、産婦人科医は医療を提供することでお産のお手伝いをするだけの存在であり、それ以上でもそれ以下でもないのではないかと思います。


なんだか最近、世の中変な方向に走っているのではないでしょうか?私が経験しそびれた”バブル”という言葉が正にあてはまるような気がします。このままではいつかバブルが崩壊してしまうのではないかと心配しています。


私が開院当初から行なっているお産とは、心と心の触れ合いです。


理想の施設を作るには設備投資というとんでもない費用がかかります。その費用はそのまま患者様にふりかかります。ただし、理想のお産を求めるのにたいした費用はかかりません。


私の求める理想とは、できるだけローコストで、できるだけ安全に、できるだけ満足のできるお産を追求することにあります。派手な演出は必ずどこかで無理を生じます。


贅沢をほとんど経験したことのない私が、これが医療の本質だと信じファミール産院を運営しています。


とはいえ、充実した設備は正直私も惹かれます。当院も思わずシャワー室を改装しました。


これが理想と現実というものでしょうか?


今日の一言
 「最近お産とは何か考えます。派手な演出は必ずどこかで無理を生じます。」