母体搬送について

地域の方々とのお話の中で、奈良県の母体搬送の受け入れ拒否のことが話題に上がります。


この報道の後に、奈良県知事が舛添大臣からお叱りを受け、早く総合周産期母子医療センターを稼動させるようにと言われて、救急車からの搬送受け入れもシステムの中に組み込むようにと言っていました。


そして、マスコミはあいかわらず断った医師への非難に終始している状況です。


このマスコミの姿勢は1年前の大淀事件(19件母体搬送を断わらた事件)から、何も変わっていないように思われます。


皆様もご存知かもしれませんが、日本の産科救急搬送の実態は、産科開業医からの緊急の受け入れにも応じられないくらい、搬送システムは機能不全をおこしています。
この上、今回のケースのように、未受診の妊婦さんまで、受け入れろといわれても、無理難題を押しつけられているだけで、現場で働く産科医の職場からの逃走に拍車をかけてしまうのではないかと心配しています。


まず、”妊娠が疑われたら早めに産科を受診すること”このことこそが、この事件から、我々が学ぶことではないでしょうか?


妊娠が判明し、母子手帳をもらえば無料で、妊婦健診も数回受けられます。
出産費用も、保険料を滞納していても35万は払われます。
乳幼児医療費はほぼ無料であります。


そして、マスコミはこれらを広く国民に知らしめる方がはるかに有用な記事ではないでしょうか?


どうか皆様、妊娠が疑われたら早めに産科を受診してくださいね。


あと、マスコミの医療への攻撃的な記事を鵜呑みにせず、現場で働く生の声を聞いてくださいね。
私は、現場の医師が悪いのでなく、現在の体制を創った役人やマスコミに問題があるのではないかと思います。


ちょっとシリアスな内容でしたが、それだけ我々産婦人科医は現場で一生懸命働いているつもりです。


皆様も応援してくださいね。


今日の一言
 「妊娠が疑われたら早めに産科を受診してくださいね」