お昼寝


子育てをされている方は、お子さんの昼寝の時間が勝負の時間になるかと思います。中には、一緒にお昼寝してしまうママもいることでしょう。


世の中には様々な研究者がいて、乳児のお昼寝と、脳の発達について研究した医師が興味深い論文を発表しています。以下は論文内容です。


「乳児は昼寝の後、学習した情報に基づいて抽象的な思考ができる」


昼寝は、乳児が目覚めている間に得た情報を処理および記憶できるようにすることによって、学習過程において重要な役割を果たすと、新規研究は示唆している。


研究者らは、人工言語によるフレーズを聞いた後に昼寝をした生後15カ月の乳児は、昼寝の時間をとらなかった乳児よりも学習した情報を後で認識し利用できる可能性が高かったことを見出した。


昼寝の時間は学習時間でもある


『Psychological Science』に掲載された研究では、抽象化として知られている高度の学習に対する昼寝の影響を比較した。


研究者らは、学習セッションの間48名の乳児に人工言語からなるフレーズを録音したものを、乳児がそれらになじむまで聞かせた。各フレーズには3つの語音が含まれた。


学習セッション後、一部の乳児は通常の時間通り昼寝をとった。しかし、その時間帯に普段昼寝をとっていない他の乳児は目を覚ましたままでいた。


その後、乳児に再試験を行った。前に聞かせたものと同じフレーズだけでなく、なじみのある2つの「語」の間に新しい「語」が挿入された新しいフレーズも聞かせた。


研究者らは、すべての乳児が、なじみのあるフレーズを再試験で認識したことを見出した。しかし、昼寝をとった乳児は、それらのフレーズを認識しただけでなく、なじみのある3つの語音のうち2つしか含まれていない新しいフレーズを認識するために、学習した情報を一般化することができた。


一方、昼寝をとらなかった乳児は元のフレーズに反応しただけであり、わずかに異なるフレーズを認識するために音のパターンを利用することができなかった。


本研究を行ったアリゾナ大学のRebecca Gomez氏は、この結果は、昼寝が抽象的な学習または認知の発達に必須である、新しい情報の中の一般的なパターンを見つける能力をサポートすることを示唆する、と述べている。


Psychological Science, August 2006; vol 17.


このことから、十分な昼寝は乳児をぐずらないようにするだけでなく、学習の助けにもなる可能性があるということがいえ、”寝る子は育つ”という言葉をある意味証明しているような気がします。


最近、一晩寝てしまうとスッカリ忘れてしまうことが多くなった私は、診療の合間に十分な昼寝でもとろうかと考えています。


今日の一言
 「乳児は昼寝の後、学習した情報に基づいて抽象的な思考ができる」