かぜについて 1.


最近一段と寒くなり、外来ではそろそろかぜっぴきが増えてきます。


かぜは、日ごろの予防と早めの治療が大切です。大半は安静にするだけで治りますが、こじらせると肺炎や中耳炎などの病気にもつながります。「かぜは万病のもと」というように、決して侮れない病気なのです。かぜの正体を知り、しっかり対処するための方法を2回に分けてまとめました。


のどが痛む、鼻水がとまらない、熱がある、全身がだるい。一言でかぜといっても症状は千差万別です。原因となる病原体は主に呼吸器に感染し症状を出しますが、胃や腸に入り込むと、吐き気や下痢も起こります。これらを「かぜ症候群」といいます。


頻繁に起こる体調不良はすべて「かぜ」と呼べるほど、かぜは身近なものです。ほとんどの場合、知らないうちに体に病原体が入って増えたために様々な症状をきたし、いつの間にか治ってしまいます。


かぜかなと思ったなら無理は禁物です。規則正しくバランスのよい食事、そして病原体を近づけないための、うがい、手洗いの励行、マスクの使用が、予防の基本です。


少なくとも、他のヒトにうつさないよう、マスクの着用は徹底してくださいね!私は、毎年必ず患者様からかぜをもらいます。


手が病原体を運びます。マスクは、のどや気管支の乾燥を防ぎ、せきやくしゃみで飛び散る病原体の侵入を邪魔します。


この時期に電車やバスに乗る時、空気がよどみにくい扉の近くに立ちましょう。たった一人のインフルエンザ患者が乗る飛行機に乗り合わせた乗客全員が感染したという有名な論文があります。特に疲れていたり体調が思わしくないときには感染しやすいので、仕事帰りなどには自分なりの工夫をしてみましょう。


そのまま放置してもかぜの99%は治ります。しかも治療するにしてもその原因の特定が難しいので、目に見える症状を抑える「対症療法」が主体になります。これは薬局で買える一般用医薬品(大衆薬)であっても、自分の症状に合った薬を上手に使えば、QOL(生活の質)が大幅に改善されることを意味します。


かぜはひき始めが勝負です。安静、保温、水分補給の三つを心がけて、体力を保持しながら体に備わる抵抗力を使い病原体をやっつけます。それでも鼻水が止まらなければ、ファミールでは鼻汁の分泌を抑える成分が入っているかぜ薬や漢方薬を使います。


病院や診療所へ行くかどうかを判断する目安は、大人ならば体温が37度5分から38度といいます。ただし、冬場はインフルエンザの可能性があるので、高熱が3日続いてからでは手遅れです。


「保温」といっても温めすぎは禁物です。室温や着ている服などによりますが、寒さを感じないようにすればよく、特別に布団や毛布をかける必要はありません。乾燥すると病原体を体外に追い出す機能が落ちるので、加湿器やマスクがあれば使いましょう。


まあ、こどもを持つお母さんには常識的な話ではありますが、もう一度原点に返ってかぜへの対策を練りましょう。


2回目は、かぜを防ぐ免疫についてお話したいと思います。


今日の一言
 「もう一度原点に返ってかぜへの対策を練りましょう」